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『王様とボク』(2012)


『王様とボク』あらすじ

18歳の誕生日の夜に恋人キエと結ばれたミキヒコは、幼いころ事故に遭って以来眠った状態が続いている同級生モリオのことを思い出す。
その後、モリオは12年ぶりに目を覚ますが、心は事故当時の6歳のままだった。
大学進学など将来への不安を感じていたミキヒコは、無邪気なモリオの姿を見て、自由に過ごしていた幼い頃の自分に思いを巡らせ……。

大人と子供の狭間に揺れるジュブナイルの機微な感情を松坂桃李、菅田将暉、二階堂ふみが演じる

主演は松坂桃李、『ヒミズ』(2011)『地獄でなぜ悪い』(2013)の二階堂ふみ、『海月姫』(2014)の菅田将暉。
共演に相葉裕樹、松田美由紀など。
監督は『ブタがいた教室』(2008)等の前田哲。
原作はやまだないとの同名漫画。

一般的なレビューの低さとは逆に、個人的には楽しめた作品でした。
18歳の誕生日を迎え、大人の仲間入りをした半面心の準備が整わない違和感を抱えるミキヒコが、精神は子供のまま昏睡から覚めた幼馴染と触れ合うことで、大人でもなく子供でもない自分と周囲の関係を探る話です。
映画の中で気になったのが、高校生の彼らが18歳をやけに大人と扱いたがる点や、松坂桃李が小学低学年におっさん呼ばわりされていたりするところです。
18でおっさんですか…とショックだったのも理由ですが、世間的に18はめちゃくちゃ子供ですよね。
それにも関わらず彼らの視点に固定して視聴者に価値観を押し付けてくることで、10代のどっちにも分類されないもどかしさというか背伸びをしたい感情がよく伝わってきました。
そんな中登場するモリオという、彼ら高校生の微妙なバランスとは正反対の心は6歳、見た目は18歳の極端な存在に出会い、自分が大人にならなくてはという強い義務感を抱きます。
しかし現実は厳しく、ミキヒコは18の持つ無力さを痛感する。
ラストに消化不良を訴える方も多くいらっしゃるのかもしれませんが、私としては皮肉やウィットの中に切なさがある良い終わり方のように感じます。

『ヒミズ』や『地獄でなぜ悪い』で存在感を見せつけた二階堂ふみが、今作でも一癖ある魅力的な少女を演じています。
彼女を見ると「全力はぎしりレッツゴー」が頭から離れません。
多少人を選ぶ作品なのかもしれませんが、ジュブナイルの機微な感情を描いており、尺が90分弱とサクッと見ることができる上に注目俳優も揃っている作品なのでおすすめです。

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