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『アズミ・ハルコは行方不明』(2016)


『アズミ・ハルコは行方不明』あらすじ

地方都市に暮らす27歳の安曇春子は、介護疲れで険悪な雰囲気の実家にも、「女性だから」と冷遇されセクハラを受ける会社にも、付き合っているわけでもない半端な関係の幼馴染にも、安らげる場所がなかった。
そんな安曇春子が行方不明者として張り紙が出されるようになったころ、二十歳をむかえた愛菜は都会の大学に進学した幼馴染ユキオと成人式をきっかけに再会し、流れで体の関係を持つようになる。
愛菜とユキオ、そしてもう一人の同級生、学とで、安曇春子を元にしたグラフィックアートで町を埋め尽くしちょっとしたブームを巻き起こした頃、謎の女子高生集団による男性を狙った通り魔事件が多発し…。

蒼井優と高畑充希が、それぞれの世代独特の鬱憤を抱えた共感性の高い女性たちを演じる

主演は蒼井優。
共演に高畑充希、太賀、葉山奨之、石崎ひゅーい、菊池亜希子、山田真歩、加瀬亮など。
監督は『スイートプールサイド』(2014)の松居大悟。
原作は山内マリコの同名小説。

百万円と苦虫女』(2008)以来の主演作となる蒼井優が、パッとしない人生に焦りを感じ始める微妙な年頃の女性を演じます。
町を歩けば同級生と出会い、会社は薄給の上に当たり前のように繰り返されるセクハラ、モラハラ。結婚する同級生たちを尻目に、恋人とも言い切れない近所の幼馴染と時間つぶしのように関係する日々。
家でも安らげず、にっちもさっちもいかない生活の様子は広い層の女性たちの共感を呼ぶのではないでしょうか。
少なくとも私の世代とまさにドンピシャリなので苦しくなりました。

明るさが取り柄の高畑充希演じる愛菜も、最低な男たちが社会に承認される中自分だけが取り残されてしまう悔しさを覚えます。
そんなやるせない二人と交差するのが、女子高生グループという最強の通り魔集団です。
社会への復讐なのか、男ばかりを狙い、当然の報いのように彼らをボコボコにしては警察の目を掻い潜っていく彼女たち。
女子高生の少女たちが持つ怖いものが何もない全能感に、知らず知らず多くの女性が憧れを抱いている結果のメタファー的存在なのかもしれません。
実在する集団なのか、それとも幻なのか、定かではない表現が面白かったです。

蒼井優の切羽詰まった自然な演技は見事です。不満を抱えるすべての女性に見てほしい、女性のための啓蒙映画でした。

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