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映画 邦画

『ゼロの焦点』(1961)

2017/09/26


『ゼロの焦点』あらすじ

新婚1週間の禎子は、広告代理店に勤める夫の憲一が数日間金沢に仕事で向かわなくてはならないのを素直に見送った。
しかし何の連絡もないまま、憲一は予定日を過ぎても帰京しない。
心配になった禎子は金沢に出向き、夫の職場の人間や金沢でお世話になっていた地元企業の社長とその夫人の力を借りて手がかりを探るも、知らなかった憲一の過去や職歴が分かっただけで消息に繋がる鍵は何一つ見つけられずにいた。
憲一の兄は、新婚で東京勤務が決まった弟に失踪する理由がないと訝しがり、禎子と入れ替わりで金沢で調査を始める。
しかし、その兄も間もなく死亡したと電報が届く。
未解決のまま時は経ち、日常生活に戻った禎子に新たな縁談が舞い込むころ、禎子は憲一の事件について心にわだかまりを感じ、再び金沢に向かった。
そして、事件の真相を知ることになる…。

松本清張原作のサスペンスの金字塔を映画化

主演は久我美子。
共演に高千穂ひづる、有馬稲子、南原宏治、西村晃など。
監督は八つ墓村(1977)や『震える舌』(1980)の野村芳太郎。

サスペンスといえば崖、水しぶき、自白が欠かせませんが、そのテンプレを作り出した松本清張による金字塔的作品が原作の作品です。
同名の原作は、これまでテレビドラマ化や本作の後も改めて映画化が繰り返されたりと長年愛され続けています。

幾重に重なった人間関係と、糸のように散らばった登場人物それぞれの行動の動機が最後一つの束になってストンと腑に落ちてくる流れは気持ちいいです。
サスペンスや推理ものの中では容易に推測できない、登場人物たちと共に少しずつ少しずつ事実を確認していきどう考えても不可思議で謎めいている疑問が解消されていく様は見る人間をグイグイと世界に引き込んでいきます。
その完璧なシナリオに、いつの時代の人間も魅了され何度も映像化されているのは頷けます。
特にこの作品は初代の映画化&白黒でありながら激しく水しぶきを上げる断崖の迫力や人物たちの細かな表情まで、画面に浮かび上がるように繊細に描かれているところも印象的です。
この一本を見ればサスペンスを味わいつくしてしまったような満足感が得られる、そんな作品でした。

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