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映画 邦画

『俳優 亀岡拓次』(2015)

2017/10/01


『俳優 亀岡拓次』あらすじ

亀岡拓次は、37歳独身。脇役俳優としてどんな役にもはまることから、仕事の依頼はひっきりなし。
しかし、なかなか名前を覚えてもらえない。
私生活では、安い居酒屋を飲み歩くことがもっぱらの楽しみという地味な日常を送っている。
そんなある日、ロケ先で知り合った飲み屋のおかみ・安曇を好きになる。
さらには、世界的に著名な人物からオーディションに呼ばれることになり……。

不器用ながら飄々と生きる有名脇役を安田顕が演じる

主演は演劇ユニット「TEAM NACS」の安田顕。
共演に麻生久美子、宇野祥平、新井浩文、染谷将太、浅香航大、杉田かおる、山崎努など。
監督は『ウルトラミラクルラブストーリー』(2008)の横浜聡子。

舞台芸術や身体表現も取り入れられており、主人公亀岡の真面目な性格ゆえに抱える混沌とした内面が表現されていて面白かったです。
評価はそこそこのようですが、確かにカンヌ的な作品だなと私も思い楽しめました。
詳細に語るのではなく、場の雰囲気や間、上記のような芸術的表現、たわいない会話の中に感情を読み取るという、見る物に程よくゆだねる緩いスタンスの映画が好きです。本作もはまってくれて良かった。

映画が好きで、熱狂的になれる海外の監督もいて、なのに自分は独特の味をもつ微妙なちょい役の脇役となってしまい、人々に愛されながら細々と息が長く続けていけているとはいえ憧れを捨てきれず、生活に満足しきれず、根無し草の状態を何年も積み重ねてしまったという男のオーラを、安田顕はよくあそこまで受け止めて演じきったと思います。
『ウルトラミラクルラブストーリー』で不思議な少年役を演じた松山ケンイチもなかなかでしたが、彼らの複雑な内面を引き出す横浜聡子監督の腕の良さでもある気がします。
まだまだお若い、次回作も期待の監督です。

誰だって自分の人生の主人公なのに思い描いていた主人公像とほど遠い現実にモヤモヤしている人に見てもらいたい、そっと寄り添ってくれるような作品でした。

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