CineMurMur

映画を中心に、音楽、漫画、アート、カルチャーについて、気になったことを綴っています

映画 洋画

『シャッターアイランド』(2010)

2016/09/01

B002M3UEPO.09._OU09_SCLZZZZZZZ_

『シャッターアイランド』あらすじ

精神病患者を収容する孤島、シャッターアイランド。厳重に警備された収容施設からある女性が脱走したと連絡をうけ、島までやってきた保安官のテディとその相棒は、その施設の異様さにみるみる飲み込まれていく。

スコセッシ監督に追い詰められる

※若干ネタバレを含みます
そんなことを言ったら、人が信じられなくなるばかりか自分が一番信用ならなくなるじゃないか!と発狂したくなるような作品。
私もよく思います。ここは本当に私が思っている場所なのかと。自分が無防備なときほどよく思います。なぜでしょう。例を挙げると、今お風呂に入っていると思い込んでいるだけで、ふとした瞬間に公衆の面前にいることに気づいたりしないだろうか、とか。人に話しても笑われてしまうのですが、この映画を見るとまるっきり冗談と言い切れないですよね。

最近、偶然「危ない精神分析―マインドハッカーたちの詐術」(著:矢幡 洋)という本を手に取る機会があったのですが、トラウマの捉え方について考えさせられる内容でした。
PTSDなどは専ら戦争経験者や戦地から帰還した兵士などに見られる精神疾患ですが、それを引き起こすといわれているのが心的外傷、トラウマです。その克服法を提唱したハーマンという心理学者の理論が世界に衝撃を与えたわけですが、その理論に基づいて世界中でトラブルが横行したそうです。その多くが、身内からの訴訟。例えば、成人して何十年も経つ我が子から、昔性的虐待を受けたと提訴されるというような事例が後を絶ちませんでした。「我が子からの虚偽の告発」の対策として財団がいくつも組まれ、会員で溢れかえるほどです。
記憶の改ざん、トラウマの捏造。人間の脳がいかに脆く、外界からの影響に弱いかがよくわかります。正義感と強い信念を持ってシャッターアイランドに上陸したテディでさえも例外ではないのです。

マーティン・スコセッシ監督と相性の良いディカプリオ、前作の『ディパーテッド』(2006)もどんでん返しが連続してかなり面白かったです。
俳優の良さを引き出す天才だと思いました。清廉潔白のエリートそうに見えて実はマフィアの一員という役にマット・デイモンを置くのも、何というか彼のキャスティングには「かゆいところに手が届く」という感覚があります。

誰の日常にも隠れているかもしれない恐怖を体験できる作品、『シャッターアイランド』。何が本当で嘘なのか、それをほのめかす伏線を何度も見返しては確認したい、癖になるような作品でした。

-映画, 洋画
-, ,