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『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)

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『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』あらすじ

ボタン工場を経営する夫婦の元に生まれた赤ちゃんは、まるで80歳の老人のようにヨボヨボとしていた。母親の命と引き換えに生まれたこの子を、父親は呪われていると恐れ老人介護施設の前に置き去りにする。
施設を経営する夫婦は、子供が授からない2人へ神様からの贈り物だと信じ、毎晩赤ん坊の成長を祈りながら大切に育てた。そう長くない命だと宣告されたその赤ん坊の名前はベンジャミン。
献身的な世話によってすくすくと成長するベンジャミンは、あろうことか年々若返っていった。

ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの老いた姿

監督は『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)『ゴーン・ガール』(2014)のデヴィッド・フィンチャー。
そんな彼とタッグを組むのは3作目となるブラッド・ピットが主演を務め、ケイト・ブランシェットがヒロイン役として共演します。

ベンジャミンの幼馴染でバレエダンサーのデイジーを演じたケイトは、昔バレエを習っていたこともありダンスシーンのほとんどを本人が担当。その美しい身のこなしに魅入ってしまいます。
そして本作は美術賞、視覚効果賞、メイクアップ賞とアカデミー賞を三つ獲得しており、それを裏付ける特殊メイクやCGにも注目です。

例えばベンジャミンが推定60歳~80歳の頃の映像に、ブラッド・ピット本人は一度も映っていません。
体はその年齢に該当する他の役者のもので、顔はCGとすり替えています。顔のCGを作成する際は、ブラッド・ピット本人の顔の型に特殊メイクを加え、それをCGに書き起こして…と気の遠くなるような作業の繰り返し。
50分のシーンを総勢155人のクリエイターが2年がかりで作成しています。ちなみにそのグループのリード・テクニカル・ディレクターは三橋忠央さんという日本人!誇り高いです。
不気味の谷を超えた完成度の高さの老いたブラッド・ピットとケイト・ブランシェットが見られます。

フィッツジェラルドが描く永遠

老いることを嘆き恐れる我々に反して、若返っていく少年(老人?)の人生を通して「永遠とは何か?」と問う映画です。
デイジーは年々美しくなっていく彼をうらやましいと言いますが、何も言わずただ見つめ返すベンジャミンのどこかもの憂げな眼差しが見る者の心に影を落とします。

原作は「グレート・ギャッツビー」のF・スコット・フィッツジェラルドの短編小説。
ベンジャミンから感じるやるせなさは、グレート・ギャッツビーの報われなさと似ています。
富と不老という人間が求めて止まない二大欲求を、フィッツジェラルドがある意味教訓めいた形で我々に追体験させてくれることに、ありきたりではありますが彼の偉大さを感じます。

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