CineMurMur

映画を中心に、音楽、漫画、アート、カルチャーについて、気になったことを綴っています

映画 洋画

『エヴォリューション』(2015)

320-1

『エヴォリューション』あらすじ

少年と女性しかいない、人里離れた島に母親と暮らす10歳の二コラ。その島ではすべての少年が奇妙な医療行為の対象となっている。
「なにかがおかしい」と異変に気付き始めた二コラは、夜半に出かける母親の後をつける。そこで母親がほかの女性たちと海辺でする「ある行為」を目撃し、秘密を探ろうとしたのが悪夢の始まりだった。

幼い=イノセントと単純にしないルシール・アザリロヴィック監督

前作『エコール』(2004)では山奥に住む少女たちの世界を描いたアザリロヴィック監督。
それも、山奥で妖精のようにきゃっきゃうふふと生活する少女たちの話ではなく、高い塀に囲まれた寄宿学校で暮らす6~12歳の少女たちが「脱走を試みれば二度と出られなくなってしまう」という制約の中で、恐怖心と外への憧れを葛藤させる話です。
思春期前の少女たちの良い意味と悪い意味での無垢さと独特の張り詰めた空気を、妖しくも美しい映像と共に描き出します。

今回の主人公は少年たち

今回はうってかわって孤島に隔離された少年たちの話です。内容だけきくと子供版シャッターアイランドみたいですね。ロボトミー…。
医療行為という『エコール』で言う「高い塀」を受け入れるしかない環境で、徐々に疑問を抱き、大人たちの制止を振り切る少年たち。
今年の6月に開催されたフランス映画祭にて上映された際に来日したアザリロヴィック監督によれば
「10歳から11歳ぐらいの子どもは、まだ思春期前で感性や想像力が豊か。大人に従わなければならないけど、強い感情を持っている。そんな子どもたちの感情を表現したかった」
とのこと。
そのリアルさを追求するために、演技慣れしている子役ではなく、自然体の子を苦労してでも選ぶという拘りぶり。
そして何よりも、監督の持ち味である陰影を強調して撮影された海中や自然の風景が醸し出す独特の色味を利かせた映像美が、映画の不気味さを引き立てています。

「ルイス・キャロル、グリム兄弟、アンデルセンの死体を掘り起こした」などの反響を巻き起こした『エヴォリューション』。
『エコール』の前から構想があったということですが(『エコール』は『エヴォリューション』ありきの作品だそうです)、今回も観客に判断を任せることで余韻に浸らせる作風になっているのでしょうか、楽しみです。
『エヴォリューション』は11月26日より劇場公開されます。

-映画, 洋画
-