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『ヴァンパイア』(2011)

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『ヴァンパイア』あらすじ

主人公のサイモンは、自殺サイトで知り合った「ジェリーフィッシュ」と待ち合わせをして、一緒に死ぬ場所を探していた。
どういった最期にするか決めかねていたジェリーフィッシュに、サイモンは血を抜く死に方を提案する。
そして人気のない工場に潜りこむと、彼は手際よく彼女から血を抜いていった。
後から追う算段に思われたサイモンは集められた血を一気に飲み干す。
彼は自殺志願者ばかりを狙うヴァンパイアであり、日中は高校の教師であり、家ではアルツハイマーを患う母の面倒を見る献身的な息子でもあった。

岩井俊二から見たヴァンパイア映画

監督は岩井俊二。
主演に、ケヴィン・ゼガーズ。
共演に『サイレントヒル: リベレーション3D』のアデレイド・クレメンス、『リリイ・シュシュのすべて』(2001)『花とアリス』(2004)など岩井俊二作品には欠かせない蒼井優。
原作は岩井俊二による同名小説です。

日本とアメリカの合作映画で、全編英語で撮られた岩井俊二監督作品の中でも異色の映画です。
これまでいろんなヴァンパイア映画や作品を見てきましたが、岩井俊二が撮るとここまで無垢で静かで詩的な作品になるのかと思いました。
ヴァンパイアに纏わりついた薄気味悪い夜のイメージを払拭する明るくて素朴な画面と、その中で映える真っ赤な血とそれが詰まった瓶がエキゾチックな魅力を放っています。

日本人留学生として登場する蒼井優との会話が鍵となっており、人の血によって生きながらえながらも人間の生死の尊厳を最大限に尊重するサイモンの真っ直ぐな姿勢が突き刺さります。
そして、『リリイ・シュシュのすべて』で映画デビューを果たした蒼井優がオーディションを受けた際に「やる気がないから」という理由で合格を出した岩井監督独特の感性が光る、人の心を忘れない心優しいヴァンパイアの淡い恋の物語です。

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