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『Mommy/マミー』(2014)

2017/03/03

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『Mommy/マミー』あらすじ

ダイアンは、発明家の夫を亡くしてからADHDの一人息子スティーブを育てる気丈なシングルマザー。
そんな彼女の頑張りとは裏腹に、スティーブは感情のままに行動しダイアンは手を焼いていた。
ついに放火騒ぎを起こしたスティーブは施設を追い出されダイアンと生活するようになるも、夫の借金を返済し財産がないダイアンは、スティーブを一人にすることができず仕事を得ることも困難になる。
そんなある日、向かいに住む内気な女性カイラと出会い、彼女との距離はみるみる縮まった。
カイラはスティーブの家庭教師をしてくれるようになり、ダイアンにも仕事が見つかって生活は上向きに変わったと思われたが…。

『Mommy/マミー』で、弱冠25歳にしてカンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞のグザヴィエ・ドラン監督による親子の愛か希望の物語

監督は『わたしはロランス』(2012)『たかが世界の終わり』(2017)のクザヴィエ・ドラン。
弱冠25歳で本作を制作し、第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品。
大御所ジャン=リュック・ゴダールと並んで審査員特別賞をかっさらっていきました。
主演親子の、ダイアン役にアンヌ・ドルヴァル、スティーブ役にアントワーヌ・オリヴィエ・ピロン。
近所に住むカイラをスザンヌ・クレマンが演じます。

失語症?吃音症?の女性という一癖ある役にドラン監督作品頻出のスザンヌ・クレマン。
『私はロランス』を見たときは、今となっては所々話の記憶が抜けているところがあるにせよ、「彼女の映画だ」と脳裏に強く焼き付いたのをはっきり覚えています(同作で第65回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の最優秀女優賞を受賞しています)。
初めて見たグザヴィエ作品だったのでなおのこと鮮烈だったのですが、本作を経てあの『私はロランス』にたどり着いたという遍歴を思うと心から納得することができました。
本作で片鱗を見ることができます。
普段は大人しくうまく言葉にできない内気そうなカイラがスティーブに対して感情をむき出しにする場面、迫真でヒヤッとするも目を話すことができない強烈な魅力がありました。

それにしても、最後まで頭を抱えてしまう作品です。
見終わった後、ポスターのキャッチである「愛と希望、どちらを捨てるか。」の的確さでさらに胸がグッとなります。
誰が悪いわけでもないのに、どうしても暮らしていけない辛さ。二兎追うものは一兎も得ずというものの、人として望んで当然のものがどこまでも遠いもどかしさ。
あまりにも酷すぎるし、リアルだし、普段は生活の中に潜伏していて表沙汰にはされない社会の闇の部分です。
そこに焦点を当てて、これほどに生き生きと描き出した25歳のグザヴィエ・ドランという鬼才。
たかが世界の終わり』が公開されて間もないですが、どこまでも次回作が待ち遠しくなる監督です。

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