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映画 邦画

『ぼくらの七日間戦争』(1985)

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『ぼくらの七日間戦争』あらすじ

厳しい規律が敷かれた青葉中学で、11人の少年少女が自由を求めて立ち上がった。
食料を持ち寄り廃工場に立てこもった彼らを、教師たちはあくまで校則のもとに解散させようとする。
生徒たちは様々な手段で教師らを撃退していくが……。

宮沢りえの映画デビュー作

監督は『早咲きの花』(2006)の菅原浩志。
主演は宮沢りえ。
生徒役に五十嵐美穂、安孫子里香、工藤正貴、菊池健一郎、鍋島利匡、田中基、大沢健、金浜政武、石川英明、中野愼。
厳しい教師にして手厳しいしっぺ返しをうける教師に笹野高史、佐野史郎など。
唯一生徒たちに理解を示し慕われる美人女教師に賀来千香子。
原作は宗田理の同名小説です。

本作は宮沢りえデビュー作にして主演作、そして日本アカデミー賞新人賞受賞作です。
主演とはいえ、出番が集中するのは後半であり11人の生徒一人一人がクローズアップされているうちの一人という扱いが強いのですが、それでもその存在感は群を抜いて目立っています。
今となっては日本アカデミーの常連ですが、15歳にしてその片鱗をうかがわせます。

バブル景気に浮かれる傍ら、学生運動が盛んだった時代に作られた作品なだけあり、原作ほどではないにせよ中学生が戦車を乗りこなし機動隊を制圧するなどの激しい反乱を描いています。
今よりもずっと教師の立場が強い時代で、体罰や過度な校則で生徒たちをがんじがらめにしていた当時の学校の問題も取り上げています。今とは真逆で、のちのモンペの誕生につながると思うと面白いです。
そんな学生たちの不満が蔓延していた当時に誕生したのがこの痛快娯楽映画。
とことん無慈悲で腐った根性をした教師たちを生徒が力を合わせてギャフンと言わせるというストーリーは、当時の彼らのうっぷんを見事晴らしたことでしょう。
当時とはまた違う意味で不満を抱く現代、そしてとうの昔に学生生活を終えた身としては、とにかく悪く描かれる教師たちの言い分というのが全く描かれず、散々大人達を痛めつけて最後に花火を打ち上げてお咎めなしのハッピーエンド、という終わり方には違和感を感じました。
深く考えるべきでない娯楽作品なのは分かるのですが、もう少し現実味を足してほしいという物足りなさがあります。
理由があったにせよ悪いことをした後には何らかの教訓がないともやもやするのは私だけでしょうか。

とはいえ宮沢りえはかわいいし、男女仲良く秘密基地で暮らす1980年代の青春感はわけもなく懐かしさを感じるし、後半の教師たちに哀れみを感じても前半のクズさを思い返すとスッキリするしで、うまく大人も子供の楽しめる娯楽映画に仕上がった作品でした。

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