CineMurMur

映画を中心に、音楽、漫画、アート、カルチャーについて、気になったことを綴っています

映画 洋画

『リトル・ダンサー』(2000)

2017/04/04

o0480068513173020246

『リトル・ダンサー』あらすじ

舞台は1984年のイギリスの田舎町ダーラム。11歳の少年ビリーは炭鉱夫の父と兄、少し認知症が始まりつつある祖母と暮らしていた。
母を亡くし、不況の煽りをうけて閉鎖される炭鉱のためにストライキの中心人物として活動していた父と兄の代わりに祖母のお世話をする日々はどこか寂しく淡々としていた。
父は息子に男らしさを求め、自分の大好きなスポーツであるボクシングの教室にビリー通わせるも、ビリーを虜にしたのは隣の部屋で行われているバレエ教室の方だった。
ある日、体育館の鍵をバレエ教室の先生に渡すように頼まれたビリーは、そのまま教室に交じって面白半分に踊ってみる。
その様子を見ていた教室の先生ウィルキンソンは彼に素質を見出し、クラスに参加するように誘った。
ところが、当時バレエは女のものという認識が強く、ボクシングの受講料をバレエにつぎ込んでいることを知った父親はビリーからバレエを取り上げようとするが…。

強いイギリス訛り×ダンスの素質×演技力を求め、約2000人から選ばれた子役ジェイミー・ベル

主演のビリー役に6歳からダンスを始めたというジェイミー・ベル。
ビリーの才能を見出し、ロイヤル・バレエ学校のオーディションを勧めるウィルキンソン先生役にジュリー・ウォルターズ。

他にゲアリー・ルイス、ジェイミー・ドラヴェン、ジーン・ヘイウッド、ステュアート・ウェルズなどが共演。
大人のビリー役をロイヤル・バレエ団のプリンシパルであり、ロイヤル・バレエ・スクールでは熊川哲也と同期だったアダム・クーパーが演じる。
監督は『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011)のスティーブン・ダルドリー

生活のいたるところに警察とストライキの抗争が描かれ、生活苦のために他の仕事に就く仲間を裏切者と蔑むプライドの高さが裏目に出て深刻な貧困に陥るという、殺伐とした当時の社会問題が描かれています。
その他にもボクシングは男、バレエは女というセクシュアリティの固定概念や、そんなご時世でも誤魔化すことができないマイノリティの情熱など、登場人物全てが壁に直面しているのが印象的でした。
それでも、11歳という若い才能の芽を摘んでしまわないように、ビリーのために皆が一丸となって障害に立ち向かっていく姿が胸を打ちます。
最低な状況でもがき続けている彼らにとって、ビリーは夢と希望を与える救世主となっていました。
ブロードウェイの舞台やテレビドラマの演出を数多く手掛けていたスティーブン・ダルドリーの初の長編映画でしたが、111分間で全ての要素を取り入れた本作はケチのつけようがない仕上がりです。
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』でも感じたような、緊迫感の中に散りばめられた幸福を味わうことができます。
色々な制限を乗り越えて、自分たちの信じるものを貫く、夢のある人たちのお話でした。

-映画, 洋画
-